新生児期からしばらくは赤ちゃんの皮膚はとても薄く脆弱です。しかし,排せつ回数も多く肛門部・お尻部分の皮膚トラブルを起こさない子は本当にごくわずかではないでしょうか。そのたびにママたちは悩まされ哀しい気持ちになりますよね。今回は,在職中に学んだおむつかぶれ(大人)の対応方法を応用して,私が実施したおむつかぶれ(お尻部分や肛門部のただれ)予防・改善法をご紹介します。
赤ちゃんの排便時の対応
お尻をきれいに‼と思うと,ついついおしりふきでしっかり汚れが落ちるまでグイグイ拭いてしまいがちです…。優しく拭くようにと言われても,どの程度優しくかは初めて出産したママにはわかりにくいですよね。
新生児からしばらくの間は,「拭く」というよりは「流す」をメインで行ってあげると皮膚トラブルが起きにくくなります。
①水で便を洗い流す
じゃあ毎回お尻だけ沐浴のように洗うのか?それはとても大変ですね。
使うのは,100円ショップなどに売っている,たこ焼きやお好み焼きに使用するようなソースケースです。
これにお水(できればぬるめのお湯)を入れて,お尻の便を流します。出口の大きめなものもあると思いますが,私個人的にはなるべく先の細いものをお勧めします。理由としては,出口の穴が大きいとその分たくさんの水が出てきます。赤ちゃんのお尻はそこまで面積が広くないので少量のお水で十分足りること,赤ちゃん用の小さなおむつで吸収できる分のお水の使用にしたいこと,そして,細い先から水を出すと水圧でくっついている便が落ちやすいことなどから先の細いものをお勧めしたいです。
②おしりふきで押さえ拭きをする
水洗いでついた水分を押さえて吸収するイメージで押さえ拭きをします。お水で十分落としきれなかった便はおしりふきにくっつけてとるように押さえ拭きで取っていきます。
おむつかぶれができてしまったら(赤みが出てきたら)・・・
①②に加えて・・・
③お尻を乾かす
すぐにおむつを閉じるのではなく,少し時間をおいたりお尻をうちわであおぐ,時間がないときは乾いたティッシュなどで軽く押さえて水分を減らし乾燥させます。
④ワセリンを塗る
おむつかぶれの原因としては,便や尿が長いこと皮膚に付着していることによる化学的刺激とお尻を拭くときなどの摩擦により機械的刺激が考えられます。
そのため,両方の刺激をより少なくしてあげることがよさそうですよね。
そこで使用するのがワセリン。
おむつかぶれの起こっている部位に少し厚めに塗っておきます(塗りこむのではなく肌にのせる感じ)。排便時は,水でお尻を洗浄したのちにおしりふきで押さえ拭き。そのあとは,ワセリンが残っていればそのままおむつを閉じ,ワセリンが流れ落ちたり,押さえ拭きでほとんど取れてしまったようであれば追加で塗っていきます。
ワセリンが塗られていることで,かぶれている部分に直接排泄物が付着することを防げますし,ワセリンに便がついても水で流すことでつるんとおとせます。つまり,便が簡単に落ちるので皮膚を直接ごしごし拭く必要もなくなります。
ワセリン塗りっぱなしで,かぶれたところはいつきれいにするの?と思うかもしれません。
おむつかぶれ部分もきちんと洗浄することも大切なので,沐浴の際にワセリンをきれいに洗い流し,おむつかぶれ部分を石鹸洗浄。その後,乾燥させてからワセリンを厚く塗って置き,おむつ替えの際は基本的にはワセリンは落とさずに水での洗浄と押さえ拭きで対応する感じが良いと思います。
ワセリンについて
私の個人の見解としては,ベビーワセリンより白色ワセリンの方がおむつかぶれの対策には向いていると思います。
理由としては固さの違いがあります。ベビーワセリンは柔らかく,比較的肌なじみが良くできています。それに対して白色ワセリンは固めです。今回の使用目的としては,皮膚に排泄物が付着するのを防ぎ,排便時のおしり洗浄をしやすくすることです。それを考えると,皮膚になじみすぎてしまうと役目を果たさなくなってしまいます。そのため,薬局などで売っている白色ワセリンの方を使用しました。
注意点
ワセリンの使用はおむつかぶれの部分のみにすることをお勧めします。私自身,「早い段階でおむつかぶれ予防を!」と意気込んで,かぶれの発生していない部分にまでワセリンを塗布していましたが,ワセリン塗布のせいで皮膚トラブルのない部分に湿疹ができてしまったことがありました。
正常なお尻の皮膚にはワセリンの油分が悪く作用することもありそうですね・・・。ワセリン塗布をやめたら,あっという間に湿疹が消えました。
また,家庭での対処には限界があるので,改善しない・悪化してきた時には早めの病院受診をお勧めします。きちんと薬をもらって早く治すのが一番ですから…。また,おむつかぶれには真菌感染(いわゆるカビ)などもあり,真菌感染の場合は,上からワセリンを塗ってしまうと,真菌をワセリンで皮膚にとどめているだけ…一向に良くなりません。真菌感染の場合は患部が白くなっていたりするのですが,そんなの見たこともなければわかりませんよね・・・。なので,気になるときは早め早めに病院受診してくださいね。
まとめ
なかなか避けられないおむつかぶれ。産後の精神状態が不安定な時に,赤ちゃんに起こるトラブルはママの気持ちをさらに落ち込ませていきますよね…。私も些細なことでかなり落ち込みました。そんなときに少しでも赤ちゃんに起こるトラブルを避けられることは,赤ちゃんにとってもママにとって重要ですよね。困っているママの少しでも解決の糸口になればと思います。一緒に赤ちゃんとの楽しく幸せな時間を過ごしましょう‼